教育現場での支援の在り方
『かんもく』の子どもがクラスにいる場合、先生など子供に関わる教育者はどういった支援をしていくのが良いでしょうか。
支援の仕方にはいろんな方法があります。
子ども一人一人によって状態が異なるため、どの程度のサポートが必要なのか注意深く様子を見ながら行うようにしましょう。
『かんもく』の子どもにとって、「注目される」ことは辛いのです。
また、頑張ろうと思ったときに「あ、できてるね!」と不必要に声をかけてしまうとせっかくの機会を失ってしまうこともあります。
褒めてもらうことはとても嬉しいですが、「注目」されることは苦手なことが多いです。
クラスの環境を整える
ユニバーサルデザイン」の環境を作る
『かんもく』の子どもだけではなく、いろんな障がいや困り感を抱えて悩んでいる子ども達はたくさんいます。
どの子どもが同じクラスにいても、同じように安心して過ごすことのできる環境を作ることを目指しましょう。
「ユニバーサルデザイン」とは、「年齢や能力、状況などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように、製品や建物・環境をデザインする」という考え方です。
(参考)ミライロ通信【ユニバーサルデザイン7原則とは?~ユニバーサルデザインを実現する7つのヒント~】より
『目立たないサポート』・『さりげない見守り』・『安心感できる雰囲気作り』を大切にしてください。
NHKで『かんもく』について特集があります。
専門家に聞く、場面緘黙(かんもく)について知っておきたいこと
(参考)https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/105/NHKハートネットより
しないでほしいこと(みんなと違う特別扱いや注目される場面にしない)
・「何とか声を出せるように背中を押してあげよう!」と発話の強制はしない
・声を出すことができたとき、「しゃべれるね!」など「話す」ことに注目をしない
・大勢の前で「注目」される場面を作らない
・「無計画」「思い付き」で関わることはしない
してほしいこと(みんなと同じようになる目立たない配慮)
・みんなと違う特別扱いではなく、みんなと同じになるような目立たない配慮をしてほしい
→自己紹介は全員が自己紹介カードに記入して教室内に掲示する・音読は複数でいっしょにする・全員が黒板に書く場面ならできるなど
『かんもく』の子どもは、みんなと違っていないかな?これで大丈夫かな?と常に不安感を持ちながら心配してしまうことが多いです。
自分だけが他の生徒と違う行動や扱いを受けることは、適切な配慮とは言えません。
「できないのだから仕方ない」と決めつけてしまわずに、みんなが同じように楽しめる方法を考えることも教育者や支援者の正しい配慮ではないでしょうか。
あきらめてしまうこと、放置しておくことは簡単にできてしまいます。
『かんもく』の子どもはそのような扱いを受けてしまっても反論することも抗議することもできません。
しかし、心の中でしっかりと感じています。
安易に「失敗してもいいじゃない」と決めてしまわないようにしましょう。
「私だけ違う」「私はできないんだ」と感じて、深いコンプレックスを追ってしまう機会は作らないでください。
「みんなと一緒にできた」という安心感は、「できた」という貴重な成功体験です。
「私は大丈夫」を積み重ねることができるような配慮を考えてクラス運営を行ってください。
成功体験を積み重ねることで、少しずつ成長していけるのです。
『かんもく』の子どもは、初めての経験が苦手です。
「できない」のではなく、「できるまでに時間がかる」のです。
合理的配慮を考える
できる限り、みんなと同じように配慮をしても対応しきれないことも起こってきます。ユニバーサルデザインだけでは対応できない場合は、個別の対応を行いましょう。特に、成績の評価などを「話せない」からできていないと評価してしまうことは、「かんもく」の子どもにとって不当な扱いとなります。
してほしいこと
・話すこと(音読・歌唱)に関わるテストや成績評価は、何をどう行うのかを保護者や本人と相談をしで検討する
→方法によってはできなかったり、練習に時間が必要です
・計画を立てて、学校の先生・スクールカウンセラー・一緒に参加してくれそうな友達などと学校内で「話す練習」に取り組む
・定期的面談を行って、学校の様子・困りごとなどを相談して先生・カウンセラー・保護者や本人と計画の調整をする
特別支援学級を利用することを検討する
通常のクラスだけでは不十分な場合は「安心できる場所」を作ることを検討しましょう
「個別の指導計画」を作成してもらい、個別の支援を受けることができます
「個別の支援」が受けられることにより、『かんもく』の子どもの症状に応じた対応が可能になります
高木潤野先生の「話せるTV」で、「場面緘黙の理解と対応入門」を視聴するとわかりやすく『かんもく』の対応を検討することができます
学校でどこまで対応してもらえるのかに『かんもく』の保護者はとても苦慮しています
『かんもく』の子ども達が適切な支援が受けられるように、教育現場や保護者が『かんもく』の状況と情報をたくさん持っていくことが大切なのではないでしょうか
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