「『あ』っていってみて」「しっかくだね」って言わないで【かんもく(緘黙)の子どもの多くが経験していたこと】

目次

「ひみつノート」の存在

みんなにゆ(い)われたこと

はずかしがりやなん!

みんなのまえでしゃべるのが はずかしい?

いっかいだけしゃべって

『あ』だけでいいから しゃべってみてよ

はやくして

わからんの

—–

あどばいす

がんばろうね!

—-

ともだちがゆ(い)ってたんだけど

ざんねんながら しっかくだね。

と、いってたんだけど、

30てんだから もうだめだ。

ばいばいね。

—–

さよならおなら

べーーーーーーーー

○○より

—-

小学校1年生の我が子の「ひみつノート」より

多くの『かんもく』の子ども達が経験をしていたこと

『かんもく』の子どもの入園・入学準備に向けての記事にある

『かんもく』の子どもが、学校生活の中で起こりやすいやすいこと
の中にも記述していますが、

■クラスメイトや部活動などでの発話の強制や誤解が生まれる。

・『かんもく』の子どもがなぜ話してくれないのか、疑問に思う子どもたちがでてくる。
・クラスメイトからの声掛け、誘い掛けなどで答えられなくて固まってしまう。
・「『あ』て言ってみて!」「話しができないの?」と、発話ができないことを責められてしまう。
・話しかけているのに誘っているのに「なぜ無視をするの!」と誤解を受けてしまう。
・話しかけた生徒も「話さない」と思うことで、「嫌われた」と誤解して傷ついてしまう。

があります。

この「ひみつノート」を見つけたのは二年生の夏頃でした。
『かんもく』についての情報を集めたり、幼稚園や学校との引継ぎや、小学校との先生に『かんもく』に対する理解をお願いしていました。
「学校はどう?」「困ってることない?」と聞くと、「大丈夫。」と答えていました。
でも、やはり多くの『かんもく』の子ども達が経験をしていたことが起こっていたのです。

この「ひみつノート」を見つけたときは、涙が止まりませんでした。

こんな傷ついたことがあったのか

どんな気持ちになったのだろう

どんな顔をしてその場にいたのだろう

母として、なぜ気づかなかったのだろう

もっと母として出来ることがあったんではないか

家庭と学校との連携を図る

「ひみつノート」を見つけて、すぐに「こんなこと言われたことあったの?」と本人に聞きました。
すると、黙って涙を流していました。
「一年生の時に言われたけど、今は言われへん。」
「二年生のはじめに、また言われた。」
「だって、話せへん。」
「なんでか、わからへん。」
と言いました。

「それは仕方ないやん。」
「そういうことを言われるのは嫌やから、言わんといて。って先生に言っとくね。」
と、伝えるとうなずいていました。
「何か嫌やなと思うことがあったら、がまんせんとすぐに教えてよ。」
というと、「うん。」と言っていました。

担任の先生に相談をさせてもらい、他の生徒との関わりや対応についてお話をしました。

幼児期~小学校低学年の『かんもく』の本人告知・他の生徒への告知について考えるの記事にあるように、

「恥ずかしがりやさんだから、話せないときがあるんだよ。」
「なんで話せないのって言われたら嫌な気持ちになるよね。だから言わないであげて。」

という、クラスメイトへの声掛けを再度、先生からしていただきました。
先生に、個別に対応をしてもらったり、正しい対応と声掛けを行ってもらうこうができました。

周囲のクラスメイトに『かんもく』という告知はしていませんでした。

周りの子ども達の変化

同じクラスメイトの子どもたちは遊びに誘ってくれたり、
発表の時は代読をしてくれたり、
「そのままの自分」を自然な形として受け入れてくれています。
困っていると声をかけてくれるし、
輪の中に入っている『かんもく』の我が子は、嬉しそうにしています。

でもこれは、少しずづできるようになっていったことです。
周りの子ども達も少しずつ理解をしていってくれたのです。

『かんもく』の子どもがいることが、たくさんの人に認知され正しい理解をしてもらえますように

一人でも悲しい出来事、傷ついてしまうことが少なくなりますように

願っています。

「『あ』っていってみて」「しっかくだね」って言わないで

周りに「話をしない」友達がいたら、

その子は「話さない」のではなく「話せない」のかもしれません

「『あ』っていってみて」「しっかくだね」って言わないで

その場所に慣れることにとても時間がかかることがあります

嫌なことを言われるとすごく傷つきます

まずは、「はい」「いいえ」で答えられそうな質問をしてみて

首を振ったり、うなずいたりして「お話」をします

みんなと同じように 友達の輪の中で楽しく過ごしたい

「いっしょに遊ぼう」と言われるととても嬉しいです

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この記事を書いた人

かんもくの子どもをもつ保護者であり、教育の資格を保有しています。
かんもくを知ってもらうための活動をしています。

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